高齢者の採血をうまく行うコツは?
私は、高齢者の血管について、
4つの特徴が挙げられると思います。
まず第一に、血管自体が細いです。
細くて、患者さんによっては、普通の採血針では入らないのです。
第二に、血管の壁が固いです。
硬くて、血管に針先が入った時に、プスッとした手ごたえがあります。
そんな時は、きまって患者さんが痛がって動いてしまうので、
もう一度挿し直さないといけません。
第三に、血管がもろいです。
きちんと血管に入った、と思ったら、採血の途中から、
針が動いたわけでもないのに皮下に血液がたまってしまう、つまり、「漏れた」ということになります。
漏れると当然採血もできませんが、
患者さん自身が痛みを感じますし、その後数週間にわたり、黒いあざのように残ってしまい、
見た目にも悪いです。
第四に、血管の弾力が足りません。
弾力がないため、採血途中で血が止まります。
規定量の血液がとれるまで時間がかかり、結局溶血してしまいます。
これらの特徴をふまえ、いい血管を探すのです。
見た目にいい血管は、案外裏切ります。
私は右利きなので、
採血道具を右手で持つため、当然、患者さんの血管は左手で探します。
私は、左手の人差し指と中指でしか、いい血管を探せません。
多分、臨床経験で、
この2本指が覚えたのだと思います。
私は、脳神経外科の手術が盛んな病院に就職しました。
脳梗塞の患者さんが多かったのですが、
脳の血管が詰まっていらっしゃるわけですから、たいていの方は、全身の血管も、
あまりいい状態ではありませんでした。
新人だった私は、何度も針を刺しました。
失敗も、たくさんしました。
失敗して、感覚のある方の腕に何度も刺すより、
まひや拘縮のある方の腕に挿した方が患者さんにとっていいかな、という単純な考えと、
麻痺がある方は動かないのでしっかり固定できるという物理的な理由で、
積極的にマヒ側で採血しました。
だんだん、いい血管の感触が、私の左手の人差し指と中指に染みつきました。
子供を産んで、
10年近く臨床から離れていました。久しぶりに職場復帰した初日から、
外来患者の採血をしましたが、私の左手は覚えていてくれました。
外来の患者さんは、採血慣れをしている方が多く、
自分のいい血管を知っています。
ですから、採血に慣れていない看護師は恥ずかしがらすに、
ご本人にいい血管の場所を聞くといいです。
それを繰り返し、自分の指に、
いい血管の太さ、硬さ、弾力を覚えさせるのです。残念ながら、血管のもろさについては、
私も触わっただけではわかりません。
血管をある程度の圧をかけて触っていると、
どうやら感覚がマヒしてくるようです。そのすきに、採血針をさすと、
痛みが少し和らぐようです。
また、出来るだけ皮膚の柔らかいところから、
血管を探します。
高齢者は皮膚も硬く、厚いので、皮膚に針が入る時の抵抗も、
痛みを増強する原因となるのです。
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